死んだ祖母の恩返し

この話ちょっと長くなるけど聞く?

数年前の夏、104歳で亡くなった祖母のお墓に、翌年の元旦急に思いついてお墓参りに行った。

お墓参りといっても実家に家族で年始の挨拶に行った帰りだったので線香も水も無かったが行かないよりマシかと思い手ぶらで行った。

本家である実家の墓はお寺の側に有る。
割と大きい方でそのメインの墓に向かい合うように12〜13基の中~小の墓が並んでいる。

手ぶらで来た私達だったがとりあえず先日祖母が入ったメインの墓に手を合わせた。
ただそれだけで他にする事も無かったのでさっさと帰ろうかと思いながらなんとなく周りの墓に目をやると、並んだ墓の端から二番目ちょっと小さめの墓のてっぺんに異物があるのが目に入ってなんだろうと思いながら近付いてみるとどうやらそれはウ○コだった。

子犬位のウ○コ…おそらくサルのウ○コだろう。

私は近くに落ちていた木の枝を拾いそれでウ○コを払い除けた。
そして、一緒に来ていた嫁さんに「そーいえばこのお墓、父ちゃんとお姉さんの間に居た女の人で確か子供の頃に亡くなったって言よったよなぁ~。」と言った。いわゆる祖母にとっての第二子というわけだ。

すると嫁さんが「確かその人、肥溜めに落ちて亡くなったんよね?」

そう。
祖母に何度か聞いた事があった。
その人が7歳の頃、肥溜めに落ちて亡くなったと。

肥溜めに落ちて亡くなった人の墓の上にサルのウ○コ。
目の前でそれを見ているであろう祖母。
なんとも不憫でならなかったんじゃないだろうか。
それで祖母が私達を呼んだんじゃないだろうか…。
きっとそうだと家族で話しながら墓を後にしたのだった。

実はこの話には続きがある。

そんなことがあってから一週間ほど経ったある日の仕事中、うちの店の前を歩いて通っていた老人に声を掛けられた。

道でも聞かれるのかなと思いながら近付くと「今、そこのお寺に行ってたんだけど帰りにお土産にとお菓子を沢山頂いた。頂いたは良いがあまりに沢山有りすぎて重くてこのまま持って歩くには辛いので半分程もらってくれないか。」
と言う。
見てみると大きな紙袋を二つ持っていて二つ共に溢れんばかりにお菓子が入っている。

老人は「いや~、でも、それは~…」と、答えあぐねる私にお構いなくお店の中に入って来て持っていたお菓子の半分以上を置いて行ってしまった。

しばらくして、出かけていた嫁さんが帰って来てそのお菓子の山を見て
「なにコレ!どしたん?!」
驚くのも無理は無い、どう見ても法事のお供え物の様なカロリータップリな和菓子や紅白饅頭ばかりの山。

事情を知った嫁さんが暫くして、少し興奮したように話だした。
「このお菓子ってもしかしておばあちゃんがくれたんじゃない?この前お墓の掃除したから…。」

なんだか話がつながった気がした。
考えれば考える程、そう考えるのがとても自然な気がして。

あのばあちゃんならやりかねない事だ。(^_^;)

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